別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
親の仲がよい上、同じ医師ともなれば、結婚相手としては申し分ないだろう。


「あのっ……」
「天沢のご両親は、私たちの結婚を望まれていて……。でも陸人さんは、うんとは言いませんでした」


眉間に深いしわを刻んだ吉野さんは、目をつり上げて私をにらむ。

私が邪魔をしたと言いたいのだろうか。
でも、私は彼女の存在を知らなかったし、陸人さんもその縁談は断ったと話していた。


「まだ不足ですか?」
「不足、とは?」
「陸人さんにはなんの落ち度もないのに、ずっと苦しんできたんです。そもそも医者になったのだって、責任を感じて……」


彼女がなんの話をしているのかわからなくて、ただ瞬きを繰り返す。


「責任と言いますと?」
「とぼけないで。あなたの背中の傷よ。それを治さなければと躍起になって、彼は外科医になったのよ。知ってるでしょ?」


私は首を横に振った。

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