別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「本宮凛さんですね。すぐに先生を呼びますのでそちらでお待ちください。……あっ、先生。さっきの電話の患者さんです」


受付の女性が私の肩越しにドクターを見つけて声をかけている。
私は覚悟を決めて振り返った。

やはり陸人さんだ……。

私の予想は当たっていた。

懐かしい彼の姿を目の前にして、込み上げてくるものがある。

頬が少しこけているように感じるのは、勤務が激務だからだろうか。
それでも凛に向けた眼差しは優しく、あの頃とちっとも変わらない。


「凛ちゃんですね」


凛に向けられていた視線が私へと移る。
その瞬間、彼は驚愕の表情を浮かべた。


「こは……お母さん、凛ちゃんをこちらに。医学は進歩していますから安心してください。凛ちゃん、よく頑張ったね。もう大丈夫だよ」


すぐに医師の顔に戻った彼は、白衣を見て顔をしかめた凛を連れて処置室に入っていった。


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