別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「今はなにも考えないで、おいしいものを食べて元気になりましょう。お母さんが倒れたら、凛ちゃんが困りますよ。本当は話がしたいです。でも嫌なら、一緒にご飯を食べるだけでいい」

「ですが……奥さまが気になさるのでは?」


吉野さんと結婚したのではないかと思い質問したが、どんな答えが来るのかと緊張で息がまともに吸えない。

もう彼を忘れるつもりだったのに、まったく吹っきれていないのだと思い知らされた。


「奥さま? 結婚なんてするわけがない。俺が生涯をともにしたいのはひとりだけ」


結婚、してないんだ……。

真剣な表情でのその答えに、みずから姿を消した私が安堵するのはきっとおかしい。
けれど、それが本音だ。


「だから、そんな心配はいらない。行きましょう」


陸人さんの誘いに私はうなずいた。


あの頃と変わらない車に乗り込み、食彩亭へと向かう。

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