別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
近づくにつれ懐かしい景色が目に飛び込んできて、胸がいっぱいだ。

彼は私がいなくなってからも食彩亭に通い続けていたのだろうか。


近くに車を停めた陸人さんは、私と凛が座る後部座席に顔を向けて口を開く。


「凛ちゃんはコロッケとなにがいいのかな?」
「凛も行く!」


きっと陸人さんの優しさに気づいている凛は、すっかりなついている様子だ。


「連れていってもいいですか?」
「……はい」


ためらったものの、凛になんと言えばいいのかわからず、ふたりを食彩亭に送り出した。


心配で車から降りて待っていると、「コロッケあった!」と凛が大きな袋を抱えて駆けてきた。


「よかったね」
「ママ、お魚好きなの? 先生がこれがいいって」


凛が袋から出したのは、サバ味噌弁当だ。
何度も彼に振る舞ったのを思い出した。


「うん、好きだよ。すみません。お代を……」
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