別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
彼は少し驚いた表情を見せたが、すぐに目を細めて強く抱きしめている。

父と娘の微笑ましい抱擁なのに、私の気持ちは複雑だった。


本当ならこうして三人で生きていきたかった。
私はあのとき、選択を間違えたのだろうか。

ううん。陸人さんを縛りたくない。
私への償いのために彼の人生があるわけではないのだから。

何度も自分にそう言い聞かせるも、いろんな感情が込み上げてくる。


「お弁当、どこで食べようか。公園はちょっと寒いね」


陸人さんが凛に尋ねた。


「凛のおうち、おいで」
「凛、いけません」


子供の無邪気な提案だとわかっていても、語気が強くなってしまう。


「それはきっと迷惑だから……。そうだ。子ども図書館行ったことある?」


凛は陸人さんの質問に首を傾げた。


「凛ちゃん、絵本好きなら気に入るよ。あそこなら、お弁当を食べられるスペースがある。食べてから絵本読む?」

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