別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
どうしようもないとわかっていても、自分の力不足なのではないかと考えてしまう。
でも……。


「お休みはありませんけど、凛が私の人生を意味のあるものにしてくれました。しっかり大地に足をつけて歩かなければと私を強くしてくれた。この子を守るためならなんだってできます」


育児に正解などない。
だからクタクタになるまで走り、ときには迷い、そして間違えもする。

しかし、凛を生んだことに後悔はまったくないし、彼女がいるから私は強く生きていられる。


陸人さんを失ったとき、お腹で宿る凛の命に気づかなければ、きっと私は泣き暮らしていたに違いない。

けれども、そんな暇はないのだ。
父親がいなくても、生まれてきて幸せだったと思えるように育てなければ。

それがひとりで生むと決めた私の責任でもある。


「そう。強くなったね」


陸人さんは優しく微笑む。

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