別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
彼はおそらく、背中の傷のせいで息をひそめて、できるだけ目立たないように生きてきた私を知っている。


「でも、今日は俺にも手伝わせて。こう見えて子供は好きなんだ。凛ちゃん、行こう」


彼は少し強引に図書館行きを決め、凛を再び車の後部座席に座らせたので私も隣に乗り込んだ。

凛はお腹が空いているようで、弁当の袋を何度も覗き込んでいる。


「なんのお弁当を買っていただいたの? 先生にちゃんとお礼した?」


「したよね。ありがとうございましたって丁寧に言うから、えらいなと思って」


なんだか気まずくて凛を責めるような口調になってしまうと、陸人さんが口を挟んだ。


「うん! おいなりさんだよ。それでおばちゃんが、凛のこと、先生の子なの?って聞くんだよ」


おばちゃんって、恵子さん?
それで、なんと答えたの?

気がせく私は「凛?」と口にした。


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