別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「違うよって言ったよね。かわいいねって褒めてくれたね」


陸人さんの返答に胸を撫で下ろした。


「先生、おばちゃんと仲良しだった」
「いつも行ってるからだよ。あそこに行けば会える気がして」


ハンドルを握る陸人さんは、声色を変えることなく言う。

会えるって、私に……よね。
本当にあれからずっと捜していたの?

私に振り回されず彼自身の人生を歩んでほしくて離れたのに、私はまだ陸人さんを縛っているの?


「そっかー」


なにもわかっていない凛の明るい返事に助けられた。



子ども図書館に足を踏み入れると、なんとなく懐かしい気がしてキョロキョロしてしまう。

記憶をなくす前に訪れたことがあるのかもしれない。


「お弁当、お弁当」


ハイテンションな凛は、小さな手で弁当の袋を持ったまま離さない。

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