別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
でも、もう間違った罪悪感で悩まないでほしい。

彼が、好きだから。
苦しいばかりだった私に、自信を持って生きればいいと教えてくれた大切な人だから。


「陸人さんは陸人さんの人生を歩んでください」


次に彼が口にしたのは、マンションに残してきた手紙の言葉だ。

一字一句間違っていない。
四年も覚えていたなんて。


「あれ、どういう意味なのか今でもわからなくて……」


私のことなんて忘れてほしくて書いたが、ずっと彼を苦しめるくらいならなにも残さず消えたほうがよかった。


「……私に振り回されてほしくなかったんです。ただ、それだけです」


『彼はあなたの一生を背負わないといけないような悪いことをしたの?』という吉野さんの強い言葉が、今でも脳裏に浮かぶ。

そして『陸人さんがあなたと結婚するとしたら、贖罪の気持ちだけ。あなたを愛してなんかないの』という発言も。

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