別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
彼は、驚いたような顔をして私を見つめる。
「ごめん。愛想を尽かされたのに、あきらめきれなくて……。未練がましいよな、俺」
違う。今でも私は、あなたのことが……。
でも、その先は言えない。
「心春。もう一度、俺と恋を始めてくれないか?」
「えっ?」
意外すぎる発言に、目を丸くする。
「いけなかったところは全部直す。もし、忙しくて留守にしてばかりなのが嫌だったのなら、救急も外れる」
「やめてください。私はそんなことを望んでません。必死に患者さんの命をつなぎ止める陸人さんが、す……」
『好きだったのに』と言いそうになり、ギリギリのところでとどまった。
「それじゃあ、なにを直せばいい? 教えてくれ、頼む」
こんな懇願、信じられない。
私たちのことなんて忘れて、吉野さんと新たな人生を歩いたほうが幸せになれるのに。