別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
大喜びで手をぱちぱち叩く凛を軽々抱き上げた陸人さんは窓際に歩み寄り、「こぐまさんいるかな?」と口にした。

やっぱり、あの絵本と彼の言葉は関係あるんだ。


「こぐまさん! どこ?」
「あはは。いないね」


陸人さんはとても楽しそうに白い歯を見せ、凛に優しい眼差しを送る。


「ご飯食べようか。冷めたから温める?」


凛を下ろした陸人さんが振り返った。


「ごめん。座っててくれればよかったのに」


私が部屋の入口で立ち尽くしていたからか、驚いている。

彼の前から消える日まで、自分の部屋のように過ごさせてもらっていたから、当然座っていると思ったのだろう。


「ありがとうございます。お食事、私が温めます。キッチンお借りしてもいいですか?」
「もちろん」


私は断ってからテーブルにたくさん用意されていた料理を温め始めた。

フライドチキンに、大きなピザ。
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