別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
頬を緩めてコーヒーをのどに送った彼はテーブルにカップを戻す。

そして緊張でカップを手にできない私に視線送った。


「俺、いつも強引だね。でも、こうでもしないと心春は折れてくれない」
「ごめんな……あっ」


いきなり抱き寄せられて体を硬くする。


「ごめん。好きなんだ、心春」


声を絞り出す陸人さんは、私が離れようとしても背中に回した手に力を込めるだけで放してくれない。

彼の『好き』という言葉に、泣きそうになった。

私も、あなたが好き。
誰よりも大切な人。

けれど、それを明かしてしまったら、彼は私に縛られたまま生きていかなくてはならない。

それに、きっと陸人さんは好きだと勘違いしているだけ。

吉野さんが話していた通り、これは私の望む愛じゃない。

傷のせいでうまく生きられなくなってしまった私を救わなければと思っているだけだ。


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