別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
彼の言葉がうれしいのに、そのまま受け取れない。
陸人さんは看護師の間で話題だったから食彩亭の常連になったと話していたが、そうではない気がする。
食彩亭と野上総合病院は、遠くはないけれど気軽に通えるほど近くもない。
病院のそばにはほかにも弁当屋はたくさんあり、救急で時間に追われている彼がわざわざ買いに来る距離だとは思えないのだ。
食彩亭に通いだしたのが私に会うためだったとしたら、やはり彼の気持ちの根底には罪の意識があるのではないだろうか。
「……心春。記憶、全部戻ったの?」
彼はもう一度聞いてくる。
「いえ。……吉野さんから事件のことを――」
「吉野?」
私の発言を遮った陸人さんは、目を真ん丸にして驚いている。
「吉野になにか言われたのか?」
「……背中の傷が事故のせいではなくて誘拐事件のせいだと。それで私、古い新聞記事を調べて……」
陸人さんは看護師の間で話題だったから食彩亭の常連になったと話していたが、そうではない気がする。
食彩亭と野上総合病院は、遠くはないけれど気軽に通えるほど近くもない。
病院のそばにはほかにも弁当屋はたくさんあり、救急で時間に追われている彼がわざわざ買いに来る距離だとは思えないのだ。
食彩亭に通いだしたのが私に会うためだったとしたら、やはり彼の気持ちの根底には罪の意識があるのではないだろうか。
「……心春。記憶、全部戻ったの?」
彼はもう一度聞いてくる。
「いえ。……吉野さんから事件のことを――」
「吉野?」
私の発言を遮った陸人さんは、目を真ん丸にして驚いている。
「吉野になにか言われたのか?」
「……背中の傷が事故のせいではなくて誘拐事件のせいだと。それで私、古い新聞記事を調べて……」