別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「俺の人生だからそうしたいんだ。心春。お前を愛したのは同情からでも贖罪の気持ちからでもない。だけど、心春がそう感じるならそうじゃないことを証明する。だから、そばにいさせて」


私は彼の強い言葉にうなずいていた。

そばにいたいのは私のほうだ。
この先、彼以上に愛せる人なんて現れないと断言できる。


「ありがとう。……よかった。この日が来るのをどれだけ待ったか……」


目頭を押さえる陸人さんを見て、その気持ちが嘘ではないとわかった。


でも、ご両親は?

結婚の挨拶に行ったとき眉をひそめた彼の両親は、私の存在を歓迎しないだろう。

それに、吉野さんとの結婚を今でも望まれているんじゃないの?

陸人さんの私への愛が本物だったとしても、私の存在が意図せず彼の両親を苦しめているとしたら、どうしたらいいのかわからない。


「心春、仕事はなにしてるの?」
「食品会社の工場で働いています」
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