別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「食品……」
「食彩亭が忘れられなくて。調理にはかかわっていませんけど、そういう業界で働きたかったのかもしれません」


お腹に赤ちゃんがいると知って、職種を選んでいる場合ではなかった。

なんでもしてお金を稼いで子供を生み、そして育てなければと、求人情報誌を必死にめくった。

そうしたら食品関係の今の会社を見つけ、気づいたら電話をかけていた。

小さな子を抱えて働いている社員が多数いたことから、採用してもらえたのだ。


「そっか。心春の料理の腕は重さん仕込みだもんな。でも、凛ちゃんの育児に専念したいというなら、仕事は辞めても構わないよ」
「辞める?」


どういう意味?


「ここに住まないか?」
「……いえっ、そんな」


そこまで甘えるわけにはいかない。
彼は私たち親子を養うために存在しているのではない。


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