別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
あのとき、兄とそんな約束を交わしていたとは。


「だから、心春が姿を消したと謙一くんに連絡をしたら『幸せにするんじゃなかったのか!』と叱られて」

「えっ?」

「でも、すぐに会って相談に乗ってくれたし、一緒に捜してくれた。ご両親に伝えてくれたのも謙一くんだ。謙一くんには心春を見つけたと話してある。もし心春が両親に会うのに勇気がいるなら、先に謙一くんに会わないか? 必ず力になってくれる」


その提案に私はうなずいた。

兄とは特別仲がよかったわけではないけれど、同級生にからかわれるたびに盾になってくれたし、傷のことで落ち込んでいると『お菓子食べるぞ』といつも私の部屋に来てそばにいてくれた。

ぶっきらぼうだけど優しい人だ。


両親には会って心配をかけた謝罪をしなければならない。

でも、私がひとりで凛を生むと決めたのに、陸人さんへの怒りが大きくなっては困る。

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