別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「いいんだ。心春があの事件より前の記憶を失ったのは、自分の心を守るため。過去は思い出せなくても、これから始めればいい」


彼は私の手を握り訴えてくる。


「俺は、心春に世界を広げてもらった。心春に出会う前は気の合う仲間がいなくていつも孤独だったけど、世の中には自分と同じような考えの持ち主がいて、そういう人とのかかわりはとても気持ちがいいものだと知った」


穏やかな顔で語る陸人さんは、私に微笑みかける。


「俺は出会ってからずっと心春に恋をしてるんだ。もちろん、あの頃は結婚の意味もよくわかっていなかったけど、永遠に一緒にいたいと思ってた。そばにいて心春以上に心が安らげる人はいない」


本当に?
自分のせいで私がケガを負ったと思っているからじゃなくて?


「俺の両親は、アメリカと日本で離れていればそのうち忘れると思ったらしいけど、その逆。心春のことばかり考えて、この絵本を読み返してた」


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