別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
つらかった、苦しかった、寂しかった、と叫んでしまいたい衝動に駆られる。


「心春。俺にそばにいさせてくれ。罪滅ぼしじゃなくて、愛させてくれ」


彼は私をまっすぐに見つめて強く訴えてくる。

もういいのかな。
ひとりで頑張らなくても、許されるのかな。


「でも、陸人さんは本当にそれでいいんですか? 吉野さんは?」


ずっと引っかかっていた吉野さんについて口に出した。

家族ぐるみの付き合いがあり、なおかつ彼と同じお医者さま。

なにより、なんのしがらみもない彼女との結婚を彼の両親は望んでいるのではないだろうか。

その気持ちが痛いほどわかるだけに、簡単にはうなずけない。


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