別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「……心配かけてごめんなさい」
「まったくだ。けど、陸人が絶対に叱るなって言うから勘弁してやる」


陸人さんが?


「陸人、お前には激甘だな。ここのケーキより甘い」


兄がそんなふうに言うので、緊張がほどけてきた。


「お兄ちゃんと陸人さんが、仲がよかったなんて知らなかった」

「しつこいんだよ、アイツ。頭の中、心春のことしかないバカだと思ってたら、医学部に現役合格するし救急医なんてやってるし、俺より賢かった」


乾いた笑みを漏らす兄だけど、遠回しに陸人さんを褒めているようだ。


「子供、いるんだって?」
「……うん。黙って消えてごめんなさい」


兄にも両親にも謝らなければならないことばかりだ。

でも、あのときは陸人さんから離れなければ彼が幸せになれないと思った。


「陸人からいろいろ聞いてる。お前、優しすぎるんだよ。苦労してきたんだから、アイツに全部背負わせればいいのに」


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