別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
兄がそう言い捨てたとき、ケーキと飲み物が運ばれてきて、一旦会話が止まった。


自身も誘拐されそうになった陸人さんに、そんなことはさせられない。

たまたまケガをしたのが私だっただけなのだから。


「そんなことできない」

「うーん。まあ、そうだろうな。でも、陸人の覚悟は生半可なものじゃないから」

「えっ?」

「あぁ、覚悟って、ケガをしたお前を背負う覚悟じゃなくて、お前を一生好きでいる覚悟のほうだ。って、兄貴に恥ずかしいこと言わせんな」


自分で口にしておいて耳を赤くしている。


「とにかく、食え」


照れくさいのか、兄は私にケーキを勧めた。

甘さ控えめでしっかりフルーツの味が楽しめるこのタルトは、どれだけでも食べられそうなおいしさだ。


「心春もわかってるんだろ? 陸人の気持ち」

「……うん。あちらのご両親が私との結婚を望んでないことも」


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