別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
正直に打ち明けると、兄はチーズケーキを切ろうとしていたフォークを置いてしまった。


「ご両親の気持ちもわかるだけに、か。陸人、ほかに縁談があるんだって?」


そこまで知っているのか。

「うん」
「でも、陸人はお前との未来を望んでるんだから、気にすることはない。男心を知らないようだから教えてやると、好きでもない女と一生一緒には暮らせない。お前は自分がそばにいると陸人が不幸になると思ってるようだが、逆だ。離れたら陸人の人生はめちゃくちゃになる」


最後に「心春のどこがそんなにいいか、さっぱりわからん」と付け足した兄は、今度こそ大きく切ったケーキを口に放り込んだ。

私、陸人さんの未来を潰さないために離れる決意をしたけれど、もし兄の言う通りだとしたら……堂々と陸人さんのそばにいてもいいのかな。


「そっか」
< 236 / 335 >

この作品をシェア

pagetop