別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「本当です。勝手なことばかりして、陸人さんの妻としてふさわしいとは言えないで――」
「俺の妻は心春だけだ」


テーブルの上の私の手を握った彼に熱く訴えられて、胸がいっぱいになる。


「はい」
「幸せになろうな。三人で、必ず」


大きくうなずくと、彼は白い歯を見せた。


それからガトーショコラを少し分けてもらい、おいしいケーキを満喫して大満足。

思えば、陸人さんの前から去ってから、ずっとギスギスした生活を送っていて、こんなに穏やかな時間が流れたのは久しぶりだ。


「ご両親、心春と凛ちゃんに会いたがってる。緊張するかもしれないけど一緒に――」

「会いに行きます。でも、兄が同行してくれると言っているので、とりあえず私が凛を連れていってもいいですか?」


陸人さんを伴ったら、両親の怒りをまた彼に背負わせてしまう。

黙っていなくなったのは私が悪いのだから、私がきちんと謝罪したい。
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