別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「でも、天沢くんの心春への想いは本物だぞ。自分の命をあげると言った頃から、きっと心春のことだけを想い続けてきたんだ。結婚と聞いたときは、罪の意識からだろうと思っていた。でも、心春が姿を消したあと、あんなに憔悴した姿を見たら……」


父は唇を噛みしめ、記憶を探るように視線を宙に舞わせる。


兄も『お前がいなくなってほんとボロボロだった』と言っていたが、父の目からもそう見えたんだ。


「『心春さんを愛することは、そんなに罪深いのでしょうか。愛してはいけないのでしょうか』と苦しそうに吐き出すのを見て、天沢くんの気持ちを疑った私がバカだったと思った」

「陸人さんが、そんなこと……?」


父は大きくうなずき、再び口を開く。


「お前が見つかって、子供までいると知って、彼は土下座しに来たよ。幸せにすると誓ったのに苦労をさせてしまった。でも、どうしても心春と一緒に生きていきたいと」


土下座までしたの?


< 269 / 335 >

この作品をシェア

pagetop