別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「だからもう、心春の人生は天沢くんに預けることにした。心春は、それでいいんだな?」


その質問にうなずいた瞬間、我慢していた涙がほろりとこぼれていった。


「事件のあと、引き離して悪かった。あのまま友達でいられたら、今頃幸せな家庭を築いていたかもしれないのに」


『自分の行いを悔いている』というのは、そういう意味だったの?


「ううん。お父さんは私を守ってくれたの。陸人さんだってわかってる。彼は今でも昔を思い出さなくていいと言うの。でも、もし今後つらい記憶がよみがえったとしても、陸人さんと一緒なら乗り越えていける。……ありがとう、お父さん」


私がお礼を口にすると、父は目頭を押さえながらうなずいた。

それからケーキを食べてリビングに戻ってきた凛に、父がおそるおそる近づいていく。

すると凛は、「おじいちゃん怖くないって。これ、ありがと」と木製の野菜のおもちゃを父に掲げた。

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