別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
以前同じことを言われたときは、完全に萎縮した。

事件について知らなかった私は、陸人さんが私のために人生をなげうとうとしているという言葉に納得し、身を引くことに決めた。

けれど、今は違う。
私に向けられている陸人さんの気持ちが、同情や懺悔の念ではなく愛だと確信したから。


「めちゃくちゃになんかなりません」
「は?」


反論が意外だったのか、彼女は目を丸くしている。


「必ず幸せになります。失礼します」


私は凛を抱き上げて、彼女の前から去った。


「ママー、あの人だあれ?」
「先生だよ」


白衣姿だったのでそう言ったが、凛は大きく首を横に振る。


「先生はあんなに怖くないもん。凛のケガ治してくれるもん」

「そうね。……オレンジジュースにする? それとも、リンゴ?」


売店に到着したので話を変えた。
凛まで巻き込みたくはない。


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