別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
リンゴジュースを選んだ凛と一緒に待合室に戻ると、二十分ほどして陸人さんが処置室から慌てて出てきた。


「待たせてごめん」
「いいんです。お疲れさまでした」
「うん。凛ちゃんごめんね」


陸人さんはしゃがんで凛と視線を合わせてから謝っている。


「怖い先生いた」
「怖い?」
「あぁ、凛。おでこ診てもらおうね」


私は吉野さんについては触れず、凛を促した。



新しい生活が始まって約半月。

三人の共同生活はかなりうまくいっている。

救命救急の激務でへとへとのはずなのに、陸人さんは時間を見つけて凛の相手をしてくれるのでとても助かる。

日曜の今日は陸人さんもお休みで、家族水入らずの時間を持てた。


「くまさんどこ?」
「今日もいないねぇ」


陸人さんに抱かれて大きな窓から山を眺めるのは、もう凛の日課だ。


「つまんない」
「あはは。でもお母さんがはちみつケーキ作ってくれてるぞ」
「うはっ」


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