別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
私にもきっとそうやって構ってほしかったのに、家事をしているから言えなかったのだと察した。


「公園行く?」
「ううん。先生と行く。先生のほうがおもしろいもん」


陸人さんは運動神経がよく、私よりずっと走り回れるのだ。

私が仕事で陸人さんがお休みだと、保育園を早めに切り上げて公園に繰り出しているようだ。

凛はそれが楽しくてたまらないらしく、ふたりの距離は着実に縮まりつつある。


「うーん。それじゃあ食彩亭は?」
「行く! 凛、コロッケ!」
「わかった」


自分でも作れるけれど、やはり重さんの味には敵わない。

散歩もかねて食彩亭に行くことにした私は、陸人さんに買ってもらった真っ赤なコートを凛に着せて家を出た。



食彩亭に到着すると、凛が勢いよくドアを開けて入っていく。


「いらっしゃいま……凛ちゃん!」


接客を担当している恵子さんが凛に気がつき、笑みを浮かべた。

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