別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
将来のお婿さん候補なのだから仕方がないか。


「お総菜を買いに来たんです。肉じゃがコロッケありますか?」
「あるよ。待ってな」


重さんは奥から、揚げたてのコロッケを六つも持ってきてくれた。

財布を出したが、「水くさいな。いらないよ」と受け取ってもらえない。


「陸人さんに叱られますから。重さんの料理にお代を払わないなんてありえないです」


残りものをもらうのとはわけが違う。
まだ売れるのだから支払いは当然だ。


「そう……。それじゃあ旦那につけとくよ」
「旦那ってなあに?」


コロッケを受け取り、ホクホク顔の凛が尋ねている。


「あっ、間違えた。先生だった」


事情を知っている重さんがペロッと舌を出すと、恵子さんが肘でつついている。

陸人さんは凛の気持ちを最優先にと、仲を深める努力をしている最中ではあるけれど、やはりできるだけ早めに私たちの関係をはっきりさせるべきなんだろうな。


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