別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
天沢家に足を踏み入れるのは、四年前に結婚の挨拶に来て以来だ。

緊張しつつチャイムを鳴らすと、吉野さんが顔を出した。

天沢家の一員のような振る舞いに驚きつつ、案内されてリビングへと向かう。

吉野さんに続いて部屋に入ると、お父さまとお母さまが待ち構えていた。


「ご無沙汰しております」
「どうぞ。座ってください」


お父さまは険しい顔で私をソファに促す。
吉野さんは両親のうしろに立った。


「強引にすみませんね。陸人に会わせてほしいと言っても聞く耳を持たないので」

「はい」

「単刀直入に言います。これで陸人から離れてください。三歳の子がいるとか。今後の養育費もこれで手を打ってもらえませんか?それなりの額は用意したつもりです」


お父さまはテーブルに茶封筒を置く。
かなり厚みのあるそれは、手切れ金のつもりなのだろう。

こんな手段を取られて驚きはしたが冷静でいられた。

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