別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
それは、陸人さんと凛との生活をなにがあっても守るという強い気持ちがあるからだ。


「受け取れません」

「お願いです。陸人をこれ以上振り回さないでください。あなたの傷の治療も、ほかに腕のいいドクターを探しましたので紹介します。陸人はなにもしてない。あの子だって被害者なんだ。もちろんあなたを巻き込んでしまったことは申し訳ないと思っています。でも――」

「事件は関係ありません。私は陸人さんを愛しています。陸人さんも傷への同情や贖罪の意識ではなく、私を好いていると言ってくださっています」


私はお父さまの訴えを遮った。

陸人さんと再会する前の私なら、こんな反論はできなかった。

彼を苦しめたくないと身を引いただろう。

でも、陸人さんの心の中に私と凛への強い愛がたしかに存在しているとひしひしと感じる今、ほかの誰かになにを言われても考えを曲げる気はない。


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