別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「あなたは関係なくても、我が家はあるんだ。私たち家族をもう許してくれないか」


お父さまが頭を下げるので焦る。


「許すなんて……。私、恨んだりしてません。傷痕が残ってしまって苦しかったのは本当です。でも事件について聞かされても、陸人さんやお父さま、そしてお母さまを恨んだことは一度もありません。だって皆、被害者じゃないですか。たまたま私がケガをしただけ」


きっとお父さまは、自分の仕事上のトラブルが事件にきっかけになったことを。
お母さまは、事件のとき一緒に公園にいたのに助けられなかったことを悔やんでいるのだろう。

私と同じように、蓋をしたい過去なのだ。


けれども、誰ひとりとして間違ったことはしていないのだから、恨みつらみの感情なんて微塵もない。


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