別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「どうか陸人さんとの結婚を許してください。勝手な思い込みで、黙って子供を生んだことは謝ります。申し訳ありません。でもあのときは、陸人さんを苦しめたくなくて……」


吉野さんが冷ややかな目で私を見つめている。彼女の発言がきっかけで遠回りをしたが、誘拐事件を知らずにあのまま結婚しなくてよかったのかもしれない。

あの事件とその後の互いの感情と向き合い、それでも一緒に生きていくと決めた今、陸人さんとの絆はいっそう深まった。


「あなたの葛藤はわかっているつもりだ。ふたりの結婚を受け入れるべきだと考えたこともあったが、やはり別の道を歩いたほうが幸せになれる。陸人は吉野さんと結婚させ――」


お父さまが話している途中で、玄関のチャイムがけたたましく鳴りだした。

ドアホンを確認するお母さまの肩越しに、陸人さんの姿が映っているのが見えて目を丸くする。


「心春、いるんだろ? 開けてくれ」


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