別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
凛を抱いている彼は、切羽詰まった様子で訴えている。

お父さまに視線を送ったお母さまが玄関に向かうと、ほどなくして陸人さんが駆け込んできた。


「なんでこんな勝手な……」
「ママ!」


陸人さんの腕から下りた凛が胸に飛び込んできたので強く抱きしめた。

私はこの子と陸人さんとの穏やかな生活だけを望んでいる。
凛は必ず守る。


「なんですか、これは?」


テーブルの上に置いたままの茶封筒を見つけた陸人さんは、目をつり上げた。


「何度も言ったはずだ。結婚は好きだの惚れただのだけではやってはいけない。何年かしたらきっと後悔する。苦しくなっても、心春さんを放り出せないんだぞ」

「放り出す? ありえない。心春を失ったら、俺は生きていけない。会えなかったこの四年、どれだけ苦しかったか。でもいつか捜し出すと心に決めていたから踏ん張ってこられた」


陸人さんはわかってもらえないのが悔しいのだろう。
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