別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
緊迫した空気の中、陸人さんが再び口を開こうとすると、私にしがみついている凛が突然ホットケーキを要求する。

急にどうしたのだろう。


「おうちに帰ったらね」
「ダメ。はちみつケーキ食べると皆仲良くなるもん」


凛の言葉にハッとした。

絵本、こぐまさんのはちみつケーキは、ケンカをした森の動物たちが、こぐまさんが作るはちみつケーキを食べて仲直りする話だからだ。


「凛……」


私の服をつかんだまま顔だけお父さまとお母さまのほうに向けた凛は、もう一度話し始める。


「ママは先生が好きなの。先生はずーっと前からママが好き。凛はママと先生と祐くんが好き。皆仲良しがいいのぉ。仲良しは結婚するの!」


必死に言葉を紡ぎ訴える凛を抱きしめた。

私も陸人さんも、凛の前で互いを好きだと口にしたことなど一度もなかった。

でも、彼女の目にはそう映っていたんだ。


「凛はパパが欲しいの!」


< 291 / 335 >

この作品をシェア

pagetop