別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「うん! 佑くんのパパ、祐って言うよ」


〝変なおじちゃん〟こと兄には、今でも呼び捨てされるのを嫌がっているが、もしかしたら呼び捨てはパパの特権だと思っているのかも。

思いもよらないことに気づかされ、改めて日々の会話は大切だなと思う。


「ありがとう、凛。パパとママと三人でずっと仲良く暮らそうな」
「うん! パパ、こぐまさん読んで」


甘える凛を、陸人さんがもう一度しっかり抱き寄せる。


「よーし。読むぞ」


私に視線を送りうなずいた陸人さんが凛をソファに連れていく姿を見ていたら、我慢しきれなくなった涙がこぼれてしまった。


それから私はホットケーキを作り始めた。

はちみつをたっぷりかけたそれを口いっぱいに入れてうれしそうな凛と、そんな凛に優しい眼差しを向けて感慨深そうな顔をしている陸人さん。

私たち家族は、今日からまた新たな一歩を踏み出すのだ。


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