別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
門をくぐると祐くんが凛を見つけて駆けてきた。


「凛ちゃん!」
「祐くん!」


はしゃぐ凛を見つめる陸人さんは、「おっ、王子さま登場」と口元を緩めた。


バスに乗り込み、いよいよ出発だ。

水族館までは一時間弱。
ちゃっかり祐くんの隣をキープした凛は、おしゃべりに花を咲かせている。


「イルカさんがいるんだって。祐くん見たことある?」
「ない」
「凛も」


そしてふたりでキャキャッと笑い合う。

今の会話のキャッチボールのどこがおかしかったのか、私にはわからない。

でも、祐くんとならなんでも楽しいのだろう。

陸人さんとこうしてふたり並んで座っているだけで気分が上がっている私と同じように。


凛たちの様子を見ていると、陸人さんがこっそり私の手を握ってきた。

ハッとして彼を見ると、にやりと笑っている。


「俺たちもデートしよう」


小声でささやかれて目を丸くする。
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