別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
一生一緒……。

陸人さんの人生を縛りたくないと悩み苦しんだけれど、彼とともに生きることはあらかじめ決まっていた運命だったのかもしれない。


「そうですね」


陸人さんの言葉を聞いていると、胸に温かいものが広がっていく。

死がふたりを分かつそのときまで、手に手を取り合って生きていきたい。


「心春」
「ん?」
「俺に幸せをくれてありがとう」
「えっ……」


思いがけない言葉をかけられて、とっさに返せない。
それは私のセリフだからだ。


「凛を生んでくれてありがとう。俺を信じてくれて……ありがとう」
「陸人さん……」


彼が噛みしめるように言うので、いろんな感情が込み上げてくる。


「なあ、式挙げようか」
「結婚式?」
「そう。心春のドレス姿が見たい」


ウエディングドレスにあこがれはあるけれど、凛もいる今、結婚式を挙げられるとは思ってもいなかった。


「うれしい」
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