別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
慌てて少し離れると、彼はおかしそうに白い歯を見せる。


「冗談……でもないな」
「はっ?」
「今晩は激しめでも許せ」


茶化した調子で言っているけれど、本気な気がする。


「ママ!」


そのとき、凛が駆け寄ってきたので真顔を作った。


「お熱あるの?」


いきなりなに?


「ないわよ。どうして?」
「お顔、赤いもん」


なんて鋭い。
陸人さんだけでなく凛にもたじたじにさせられるとは。


「ママ、照れてるんだよ」
「なんで?」
「なんでかなぁ。ママに聞いてみたら?」


ちょっと陸人さん! なにけしかけてるの?


「そ、それよりどうしたの?」


私は無理やり話を変えた。


「そうだ! おっきいイカさんいた。イカフライできる?」


凛のとんでもない発言に目が点になる。


「フライにするのか……。さすがは料理上手の心春の娘だ」


陸人さんがお腹を抱えて笑いだした。
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