別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「毎年楽しみなのよね。食彩御膳四つと、いなり寿司弁当ふたつください」
「はい、すぐに」


それからもひっきりなしにお客さんが訪れる。
近所にある大学の男子学生には、かつ丼の大盛が人気だ。

接客をこなしていると、十三時前に食彩御膳が売り切れてしまった。
十四時くらいまで残っているときもあるのだが、今日はかなり早い。

十三時過ぎに男性のお客さんが慌てて飛び込んできた。


「食彩御膳売り切れ?」
「申し訳ありません。今日は足が早くて」


楽しみにしてくれていただろうお客さんに謝罪して腰を折る。
そして顔を上げると、男性がしかめ面をしていたので、緊張が走った。


「あのさぁ、こんなに早く売り切れるなんて、商品管理がなってないんじゃないの?こっちは急いできたのに、ないってどういうことだよ。予約の電話をしたら受けてないと言うし、どうしろって!?」

「申し訳ありません」


私は謝罪を繰り返す。

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