別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「お礼を渡すだけ」


自分にそう言い聞かせてスマホのボタンを押した。

コール音がし始めると、緊張のあまり切ってしまいたい衝動に駆られる。


『もしもし』


けれど、ワンコールで彼の声が聞こえてきた。


「あっ、あのっ……」
『もしかして心春さん? 調子悪い?』


そうだ。体調が悪かったときのために電話番号を教えてくれたんだ。

それなのに私、会いたいからなんていう理由で電話をかけてしまった。


「大丈夫です。体調はすっかり整いました。ごめんなさい、電話なんてして」

『よかった……。電話、うれしいよ。ほんとは心春さんの番号聞きたかったんだけど、図々しいと思ってやめたんだ。だから、すごくうれしい』


ほんとに?

弾んだ声が聞こえてくるので、安堵した。


「あのっ……もしよければ、なんですけど」


妙な汗が吹き出し、手が震える。
頑張れ私!


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