別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
発言の意味がわからないまま買い進めてレジに行くと、彼がすべて支払ってくれた。


「すみません」
「作ってもらうんだから当然だよ。すぐそこだから」


再び車に乗り込んで向かったのは、目の前にそびえ立つタワーマンションだ。

本当にすぐそこだったけど、まさかこんな立派なところだとは。


「素敵なお住まいで」
「ここは海も見えるけど、遠くに山も見えるんだ。くまがいないかなと、いつも見てる」
「くま?」


いきなりなに?
さすがにいないだろうし、いたとしても見えないだろう。

ロマンチストなのかな……。


「なんて。行こうか」


クスクス笑う彼は私の背中を押して促した。

三十二階にある彼の部屋は、とんでもなく広かった。
キッチンも、広いだけでなくピカピカであんぐり口を開ける。


「きれいにされてる……」

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