別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「料理しないから、キッチンはきれいなままかな。しないというか、できないんだけど。コーヒーくらいは淹れるから、適当に座って」


彼は気を使ってくれたが、私はキッチンに向かった。


「お腹空いたんじゃありませんか?すぐ作ります。コーヒーはあとで」


もう十三時を過ぎている。


「それは助かる。今朝、寝坊して食べてないんだよ」
「それじゃあ、調理道具をお借りしますね。座っててください」


そう言ったのに、ジャケットを脱いでシャツの腕をまくった彼は、私の隣に並んだ。


「助手していい? あんまり役に立たないけど」
「もちろん。ねぎを切っていただいてもいいですか?」


ねぎの小口切りをお願いした私は、早速ご飯を炊き始めた。


「さすが、手際がいいね」
「ありがとうございます」


そう言う彼のほうが包丁を軽快に動かしていて、手際がいい。
とても料理ができないとは思えなかった。


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