別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
いや、お医者さまなら、職業上いろんな傷を目の当たりにしてきているだろう。
それなら大丈夫?

大きく気持ちが揺れる。


「心春さんの全部を受け止めるから、俺」
「えっ?」


まるで私の心の中を見透かしているかのような言葉に目を瞠(みは)る。

傷について知っているの?
もしかして……同じ小学校に通っていたとか?

まだ無邪気に水着を着ていた頃の私を知っているとしたら、背中の傷も承知しているはずだ。


「天沢さん、小学校はどちらですか?」

「俺、父の異動で小学校は丸々ニューヨークにいたんだ。中学に入る直前に戻ってきてそれからは私立の一貫校に通ってた」


ニューヨーク……。それじゃあ違う。


「そうなんですね」


考えれば考えるほど、意識が背中の傷に向いてしまう。

結婚まで行かずとも、正式にお付き合いをするのなら話さないわけにはいかない。


「なにか心配ごとがある?」
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