別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「私……」


緊張で喉がカラカラだ。
酸素が肺に届いている気がしなくて苦しい。


「急かしてごめん。俺、めちゃくちゃ緊張してて」


天沢さんが緊張?
私だけじゃないの?


「どうしても心春さんが欲しいんだ」


まっすぐに私を見て強い想いをぶつけてくる彼に、胸がいっぱいになる。


「私、男性とうまくお付き合いできるか自信がなくて……。少しずつ、でいいですか?」


結婚とまで口にする彼に失礼な答えだったかもしれない。
けれども、今の私にはこれが精いっぱいだ。


「もちろん。俺が結婚なんて言うから戸惑ったよね。でも、俺はそのつもりだから、知っておいてほしくて。ありがとう」


彼は安心したように満面の笑みを見せ、そのあと私を抱き寄せた。


盛り上がっている傷痕に気づいてしまうのでは?と体を硬くしたけれど、彼はなにも言わない。


「心春」
「えっ……」
「そう呼んでもいい?」
< 68 / 335 >

この作品をシェア

pagetop