別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
まさか合鍵をもらえるなんて。

結婚を見据えての交際というのはきっと嘘じゃない。

くすぐったくてうれしくて、顔が赤くなっていないか心配になったけれど、陸人さんが店を出るとき私にだけわかるように小さく手を振ってくれたのが幸せだった。

私たち、本当に付き合っているんだ……。


昨日、家まで送ってもらったあと、絵麻に交際の報告をしたら『急展開すぎるでしょ』と驚いていたものの、『よかったね』と涙声で祝福してくれた。

一生男性との交際なんて無理だと思っていた私をずっと心配してくれていたからだ。

ただ、まだこれからだ。
この傷の話をしたらどうなるのかわからない。

それでも、今のこの時間を大切にしたい。そう思った。



陸人さんと交際を始めてから、世界が変わった。

食彩亭と家との往復だった生活に彼との会話が入り、笑っていられる時間が増えた。

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