別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
それに、大切な人のために料理をするのがこんなに楽しいものだとは知らなかった。

合鍵をもらってから、週に何度か彼の家に行って夕食を作っている。
重さんが持たせてくれる弁当をふたりで分けて、私の料理も追加するのだ。

救急で働く彼は、勤務時間が明けても帰れないことがしばしばある。
目の前で苦しむ患者を放置するわけにはいかないからだ。

だから食事を用意してもすれ違ってしまうこともあったが、もちろん納得している。


ただ、会えない日が続くと寂しいのが本音だ。
それは彼も同じようで、会えたときは必ず優しく抱きしめてくれた。

とはいえ、私が少しずつ進みたいと言ったからか、いまだキス以上を求めてはこない。

お付き合いというものが初めての私には、これが普通なのかどうかはわからないけれど、傷について打ち明けなければならない日が近づいているという感覚はあった。



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