別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「心春のことはなんでもお見通しなんだ、俺」


彼は一学年上だと聞いていたけれど、年齢はほとんど変わらないんだ。

茶化した言い方をして白い歯を見せる彼は、私の手ごと自分のコートのポケットに入れる。


「プレゼント、どうしよう」
「こうやって一緒にいてくれるだけで十分だ」


彼はそう言うけれど、なにかしたい。


「それじゃあ、夕食をおごらせてください。ちょっと豪華なの」


時々一緒に外食もするが、いつも彼が支払ってくれるのだ。


「うーん。それなら、心春の手作りの料理がいいな」
「いつも食べてるじゃないですか」
「でも、今日も食べたい。心春の手料理が一番好きなんだ」


重さんの弁当や、高級レストランの味を知っているだろう彼に料理を求められるのは光栄だ。


「わかりました。そうしましょう」


私は承諾した。


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