別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「この傷、痛むだろ」
「時々痛いです。天気が悪いときとか、ストレスを感じた日はチクチクと。……触らなくていいですよ」


もしかしたら私を気遣ってそうしてくれているのではないかと思い、付け足した。


「この傷も心春の一部だろ? 俺、手術痕をきれいに治すための勉強もしてて」
「ほんとですか?」


治してもらえるのではないかという期待が高まり、大きな声が出てしまう。


「うん。よかったら一度うちの病院で検査を受けてみない?ほかの先生とも相談するから」
「はい」


ずっと悩みの種だった傷痕がきれいになるかもしれないなんて。

彼と結ばれただけでも天に上るような気持ちだったのに、最高の一日になった。


「この傷を負ったのはどうしてか覚えてる?」
「えっ?」


覚えてるって?

その聞き方が少し気になったけれど、すべてを知ってもらいたいと思い話し始めた。


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