別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
不思議に思いながら重さんを呼んでくると、陸人さんはキリリとした顔で重さんを見つめた。


「先日の……。その節はありがとうございました」

「とんでもないです。今日は、お願いがありまして。……心春さんを私にください」


陸人さんが深々と頭を下げる。

まさか、これを言いたいがために待っていたの?

驚きのあまり目が飛び出しそうになった。

唐突な申し出に瞬きを繰り返す重さんは、言葉をなくしている。
けれどもしばらくして、顔に喜びが広がった。


「そうでしたか。よかった。心春ちゃんは本当にいい子で。そうか、そうか……。こちらこそ、心春ちゃんをよろしくお願いします」


重さんが目にうっすらと涙を浮かべるので私まで泣きそうになる。

きっと陸人さんは、重さんが私を『娘のように思っている』と話していたのを覚えていて、挨拶に来てくれたんだ。


「はい。必ず幸せにします。それでは、失礼します」


陸人さんは私に微笑みかけてから仕事に戻っていった。
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