別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
お父さまはなにか言いたげだったが、陸人さんは落ち着いた様子できっぱり告げる。


「本宮さんのご両親は……?」
「これからうかがって、挨拶してきます。必ず認めていただきますから、大丈夫です」


ふたりの会話に違和感があるのはどうしてだろう。

私にはわからないなんらかの言葉が、お父さまと陸人さんの間に飛び交っているように感じられる。


「いや、しかし……」


お父さまが眉をひそめるので、緊張がさらに高まっていく。


「彼女は弁当屋に勤めていて、料理がとてもうまいんだ。優しい人柄から、店主にかわいがられてる。素晴らしい女性です」


陸人さんはそう言いながら、戸惑う私の顔を見て微笑みかけてくれる。


「それはそうかもしれないが……。もっとよく考え――」
「考えました。俺には彼女しかいない。彼女以外の人と結婚するつもりはありません」


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